浦潮だより:若い力

令和7年6月6日
シーズンを乗り切ったダンサー達の笑顔

浦潮だより:若い力

 令和7年6月6日

劇場シーズンも終わりに近づいたので、マリインスキー劇場沿海地方ステージに勤める日本人バレエダンサーの皆さんを公邸にお招きしました。今年は2月のオマーン公演があったのに続き、6月にはベラルーシ公演があるそうです。ミンスク勤務時に私が足繁く通った白亜のベラルーシ国立ボリショイ劇場を懐かしく思い出しました。オマーン公演でアリエフ監督演出の「千夜一夜物語」を演じた時は、モスクのような大理石造りの劇場と舞台セットがマッチして、まさにアラビアン・ナイトの世界だったというお話でした。
 

ちなみに今年3月、このバレエ団で数多くの主役を演じる加藤静流(かとう・しずる)さんは、第一ソリストから最高位のプレミエールに昇格しました。日本人として誇りに思います。来シーズンも日本人ダンサーの皆さんが観客を大いに湧かせるのが楽しみです。
 
演奏後は満場の拍手
もう一つ、5月の当地マリインスキー劇場で刺激を受けたのは、チャイコフスキー生誕185周年記念コンサートで聴いたバイオリン協奏曲です。バイオリン・ソリストを務めたラヴィリ・イスリャモフは、2023年のチャイコフスキー・コンクール銀メダリスト。24歳という若さに似合わない落ち着きで登場し、さりげなく弾き始めた音色は、すぐに観客の心をつかみました。演奏が終わると、もちろん盛大なスタンディング・オベーションです。当地で聴いたクラッシック・コンサートのうちで最高の出来でした。
同じく5月、ウラジオストクで「ヤポーニア・フェスト(日本祭り)」がスタートしました。ロシアの個人事業主が商業ベースで実施している漫画・アニメの巡回展示会です。手塚治虫漫画の膨大なコレクション、数量限定のフィギュア、世界で50セットしかない特別装丁の「ワンピース」全巻(インテリア鑑賞専用)など、驚きの「お宝」が並んでいました。浮世絵、紙芝居、妖怪、忍者といった日本の伝統文化に関する紹介展示や版画制作の体験クラスもあり、子供達が楽しく学べるよう演出されていました。(ちなみに、ロシアで人気の「セーラームーン」に関する説明は、私にとっては初耳のことばかりでした。)日本の漫画・アニメ文化は、ロシアの若者の間の趣味として洗練度を増しています。ウラジオストクに住むロシア人漫画家の作品も印象に残りました。

会場入口


手塚治虫漫画のコレクション


妖怪の説明パネル
日本でもロシアでも、芸術分野で若い才能がどんどん育ってきています。日露の文化交流や青年交流を通じて、次の世代が明るい未来を作り出していくことを心から願っています。