浦潮だより:8月15日

令和7年9月2日

浦潮だより:8月15日

 令和7年9月2日
 

日本で終戦80周年式典が行われた8月15日、ウラジオストク中心にある姉妹都市広場では「日露友好記念碑」30周年の式典がささやかに執り行われました。この記念碑は、1995年に第二次大戦の終戦50周年を記念して造られたものです。当初の設置場所から工事のために一時撤去されましたが、2013年、地元のロシア人有志がウラジオストク市に働きかけた結果、多くの市民が行き来する現在の場所に移設されました。ブーラヤ対日友好協会代表の挨拶に続いて、ロシア人参加者と私達でそろって、唱歌「ふるさと」を日本語で、「カチューシャ」をロシア語で歌いました。1957年に鳩山一郎元総理が創立した日ソ協会の後継となる日本ユーラシア協会からも温かいメッセージが寄せられました。日露の友好を願う活動が綿々と受け継がれてきている一方、関係者が高齢化していることを感じました。
 


日露友好記念碑30周年式典

8月15日は韓国の光復節でもあります。日露友好記念碑式典の直前、すぐ隣の「ロシア国民・韓国国民の友好150周年記念碑」の前でも式典が行われたそうです。同日夕方には、在ロシア韓国大使館広報文化部が主催する祝賀コンサートが行われました。約300名の観客席は満席。韓国の伝統楽器やモダン・ダンスも新鮮でしたが、なんと言っても民謡「アリラン」の歌唱が圧巻でした。韓国人コミュニティーの存在感が大きい当地のこと、観客の多くが体を揺らしながら「アリラ~ン、アリラ~ン」と一緒に熱唱していました。
翌8月16日は、ウラジオストク日本人会の皆さんと当館館員・家族でそろって隣町のアルチョム市にある日本人抑留死亡者の記念碑の墓参に行きました。沿海地方では約7400名の抑留者が命を落としたと言い、アルチョム市には日本国政府が建立した慰霊碑と、茨城県ひたちなか市や水戸市の方々が建立した慰霊碑があります。また、アルチョム市が2017年に植樹した桂と白樺の木々が、静かに慰霊碑に寄り添っています。夏の暑い日差しが照る中、みなで心を込めて清掃し、花と線香を手向けて黙祷を捧げました。一緒に参拝してくれた小さい娘さん達の明るい声が、平和を願う私達の祈りとともに、この地に眠る先人にも届いたような気がしました。


茨城県ひたちなか市建立の慰霊碑


アルチョム市の植樹祈念碑と桂の木


政府慰霊碑に献花


慰霊碑前での追悼の辞