浦潮だより:大自然の魅力
令和7年9月16日
浦潮だより:大自然の魅力
令和7年9月16日
展示センター「ロシア」の動画から:アムール虎のあくび
9月1日に全ロシア世論調査センターが公表した調査結果によると、回答者の61%が過去一年のロシアを「誇りに思う」と答えました。何を誇りに思うかとの質問に対しては、「ロシアの歴史」90%、「ロシアの文化」88%、「自然の豊かさ」87%という回答結果だったそうです。これを聞いて、その昔、ロシアの友人と一緒にモスクワからスーズダリまで旅したことを思い出しました。真冬の旅でしたが、車窓から景色を眺めていた友人が、「これぞロシアのプラストール。なんと美しいことか!」と感激していました。「プラストール」というロシア語は、限りなく広がる自由な空間を意味します。その頃の私は、どこまでも続く真っ白な雪原にどうしてそこまで感動できるのか腑に落ちなかったのですが、長年ロシアで暮らすうち、折に触れてその光景を思い出し、深い愛着を感じるようになりました。ちなみに、その日のスーズダリは新雪に覆われて、まるでおとぎ話に出てくる砂糖のお城のようでした。
さて、極東の自然は山が多く、欧州部のロシアとは趣が大きく異なりますが、スケールが大きい点は共通しています。極東は人口が比較的少ないため、多くの山野は人間の手が入らないままです。ウラジオストク市外の海沿いをドライブすると、山の起伏の合間に海面がきらきらと輝き、岩場の多い海岸線は北海道の知床半島を連想させます。昨年末に黒海とアゾフ海をつなぐケルチ海峡で2隻のタンカーが座礁して重油が流出し、黒海沿岸に環境被害が出た影響もあって、今夏はロシア各地からウラジオストクを訪ねてくる観光客が増えました。モスクワやサンクトペテルブルクから7~8時間のフライトの先にもロシアがあって、綺麗な海に恵まれていることに強い印象を受けるのだと聞きました。
大自然の中には、野生動物も暮らしています。最近、日本では熊の出没が報じられることが多いですが、ウラジオストクでは、虎の出没が話題です。数年前の大雪のため、食べ物を見つけられなかったイノシシなどの動物が死に、森に虎の獲物が少なくなっているとか。先日、テレビを観ていたら、「虎に注意してください」という広告が流れて驚きました。虎は犬の餌を狙って民家周辺に出てくるそうです。広告では、「出かける際は愛犬を室内に入れるか、犬小屋に逃げ込んで虎から身を守れるようにしてあげましょう。」と呼びかけていました。


虎はウラジオストクのシンボル。9月末には「国際虎の日」を祝って、恒例の「虎のパレード」が開催されます。といっても本物の虎が行進する訳ではなく、人間が虎の仮装をしたりペイントをしたりして練り歩くのだそうです。どんなパレードになるのか楽しみです。
T.M.
T.M.