浦潮だより:ガイジン
令和8年3月23日
往年の名車が並ぶガイジン
浦潮だより:ガイジン
令和8年3月23日
『右ハンドル』の著者、ワシーリー・アフチェンコさんの勧めで、「ガイジン」博物館を訪ねてみました。ソ連崩壊後、極東を席巻した日本からの輸入中古車のうち、レアな車を集めた個人コレクションが展示されています。まるで自動車修理工場のような入り口から入ると、ホール一面に往年の名車がズラリ。今年の夏に日本に旅行するという青年が、一台一台について熱心に説明してくれました。
どの車もピカピカに磨き上げられ、内装はオリジナルの革張りシート、色鮮やかなハンドルやギアで飾られていて、かつての所有者の愛着が伝わってきます。年代物の一台を指して「もう動かないよね。」と尋ねたところ、青年はボンネットを開けて綺麗なエンジン・ルームを見せながら、「今もちゃんと走りますよ!」と得意気です。機械いじりが大好きなロシア人と、作りこまれた90年代の日本車は共鳴するのでしょう。個人的には、黄色のフェアレディZが何とも懐かしく、格別にカッコよく見えました。昔、友達の実家に紺色のフェアレディZがあり、東京の街を颯爽とドライブしたことを思い出します。
懐かしのフェアレディZ
威圧感のあるキャデラック
数々の日本の名車に感嘆しながら見て回った後、最後に目を惹いたのはキャデラックでした。重量感もスケールの大きさも、日本車とは衝撃的に違います。国によってモノづくりの精神が随分異なることを感じました。
左端が「アツタ」、右端がロールス・ロイス「ダーウェント8」
そういえば、オーストラリア戦争記念館の特別展で、郊外の倉庫に並べられた第二次大戦時の兵器類を見学したことがあります。ドイツ軍や日本軍の兵器も多数並ぶ中で、日本の爆撃機「彗星」に搭載されていた「アツタ」エンジンと、英国ロールス・ロイスの「ダーウェント8」ジェットエンジンを並べたコーナーがありました。「アツタ」は、日本がダイムラー・ベンツ社から購入したエンジンを日本でライセンス生産したものだそうで、当時の日本の技術者の苦心がしのばれます。一方、ロールス・ロイス社のエンジンの重厚な質感と鈍い輝きには、思わずため息がもれました。ロールス・ロイス製品は、昔からずいぶん立派なものだったのだなと感心します。モノづくりの世界は実に奥深いです。
T.M.