浦潮だより:橋めぐり
令和7年3月4日

浦潮だより:橋めぐり
令和7年3月4日
総領事館のオフィスから金閣湾にかかる黄金橋(全長2.1km)とルースキー島にかかるルースキー橋(3.1km)が見えます。晴れの日は橋の白さが青空によく映えます。また、毎朝の通勤ルートではアムール湾を対岸まで低く走る道路橋(5.3km)の横を通るのですが、海が輝く季節には、ふと故郷の山口県にある角島(つのしま)大橋を思いだします。

橋の建設は、ウラジオっ子にとって長年の夢でした。3つの橋は、いずれも2012年のウラジオストクAPECの機会に建設され、今やウラジオストクを代表する景色となっています。ちなみに、黄金橋の橋脚はV字型、ルースキー橋のそれはハの字型。そのため黄金橋は「男の子(マリチク)」、ルースキー橋は「女の子(デーバチカ)」と呼ばれているとか。たしかにトイレの男性マーク、女性マークのように見えます。実にロシア人らしいユーモアですね。
2012年にAPEC室長を務めていたのでルースキー橋には思い出があります。完成したばかりのこの橋を越えて、会場となった極東連邦大学キャンパスで2週間近い交渉に臨みました。大学寮の朝食は、長時間の交渉で疲れた心身を毎朝リフレッシュしてくれたものです。ロシア各地から集まった若きボランティア達が宿舎の受付や会場案内を務めていて、彼らと交わす短い会話も素敵な経験でした。その後も、毎年9月に開催される東方経済フォーラムへの総理出席の機会にルースキー橋を渡ることがありました。橋を眺めるたびに、当時のいろいろな場面が胸をよぎります。
ウラジオストク生活では、対岸のマリインスキー劇場沿海地方別館やショッピング・モールに行く度に黄金橋を渡ります。橋の上から左右に望む景色にはいつも感激。夜、マリインスキー劇場から眺める黄金橋も絶景です。夏には海上から橋を眺めるボート・ツアーがあるそうで、今から楽しみにしています。
ウラジオストク生活では、対岸のマリインスキー劇場沿海地方別館やショッピング・モールに行く度に黄金橋を渡ります。橋の上から左右に望む景色にはいつも感激。夜、マリインスキー劇場から眺める黄金橋も絶景です。夏には海上から橋を眺めるボート・ツアーがあるそうで、今から楽しみにしています。

もう一つ、毎朝の通勤路でお目にかかるのが「富山-沿海地方・友好の橋」。市街地にある道路橋に、その名前が大きくペイントされています。富山県と沿海地方は姉妹県として交流を深めてきました。新潟県や鳥取県も沿海地方との長い交流の歴史があります。
着任後、「2時間で逢える 日本-ウラジオストク」(皓星社、2020年)という本に出会いました。コロナ禍の前、ウラジオストク-日本の直行便が飛んでいた時は、片道2時間で「逢える」距離だったのです。この本では、63名もの日本人とロシア人が、草の根交流についてそれぞれの熱い思いを綴っています。国境を越えた心の触れあいのなんと暖かいことか。地域交流の大切さを実感します。